ペトロの殉教
イエスと12人の弟子  遠藤周作で読むイエスと十二人の弟子 芸術新潮 1997年10月号
ローマ年表

ペトロにはエピソードがいろいろある。
ユダをのぞけば、12人の弟子(12使徒)のなかでもっとも有名な男かもしれない。
なんといっても彼は初代教皇である。いまのヨハネ・パウロ二世までまで303人が名を連ねるローマ教皇の元祖である・・・(中略)

ときのローマ皇帝はネロである。弟を殺し、母と寝たあと彼女も殺し、妻を自殺させたとんでもない男である。そのうえお祭り気分でローマの街に火を放っている・・・(中略)

(自分に疑いをかけられて)・・・困ったネロが目をつけたのがキリスト教徒だった。
異教徒のこいつらに罪をかぶせりゃいい・・・・

ペテロはつかまった。
じつは一度、逃げたのだが、ローマを出る門でイエス(復活後の)とすれちがうのである。

ペトロはおどろいてたずねた。
クォ・ヴァディス」 (どこにいくのですか)
「十字架にかかるためにローマにいくのだ」

あの時とおなじだ。
師はまた自分の身代わりとして死のうとしている・・・・・。
ペトロは泣く。
そしてすぐにひきかえし、逆さハリツケにされて死んでいくのである・・・・(後略)


マサッチオ「聖ペテロと洗礼者聖ヨハネの殉教」<部分>
1426 テンペラ Gemaldegalerie


ペトロの否認 H・V・ホントフロスト 1620〜25頃 ミネアポリス アート インスティテュート